タイで働くとき、税金・社会保障はどうなる?日本と比べてわかりやすく解説

タイで働くとき、税金・社会保障はどうなる?日本と比べてわかりやすく解説

「タイで働いてみたいけど、税金ってタイに払うの?」

「日本の住民票はどうなる?」

「年金は日本のまま?それともタイ?」

タイ移住や海外就職を考え始めると、仕事探しと同じくらい気になるのが税金と社会保障です。

日本にいるときは会社が給与からいろいろ天引きしてくれるので、あまり意識していなかった人も多いと思います。

ところがタイで働くとなると、タイの所得税、社会保険、日本の住民票、年金など、いくつかの制度を整理して考える必要があります。

先にざっくり結論を言うと、タイの会社で現地採用として働く場合は、基本的に「タイで働いて得た給与についてタイの税金・社会保障を考える」という形になります。

一方で、日本の住民票や年金は「海外に住むことになったから全部自動的に消える」という単純な話ではありません。

この記事では、難しい税法の話をできるだけ避けて、タイで働く初心者向けに日本との違いを整理していきます。

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まず知っておきたい「タイで働く=タイの税金」が基本

タイで働く場合、まず大切なのが「どこで仕事をしているか」という考え方です。

タイの会社に現地採用されて、タイ国内で仕事をしているのであれば、その給与についてタイの所得税が関係してきます。

タイでは個人所得税が累進課税になっており、課税所得に応じて税率が上がっていきます。

タイ歳入局が案内している個人所得税の税率は、課税所得が15万バーツ以下なら免税、15万バーツ超〜30万バーツ以下が5%、その後10%、15%、20%、25%、30%、最高35%という段階になっています。

ここで注意したいのが、「給料にそのまま税率を掛けるわけではない」ということです。

給与などの所得から、法律上認められている経費や所得控除などを差し引いて「課税対象となる所得」を計算し、その金額に段階的な税率をかけていきます。

つまり、

給与100% × 35%

という単純な計算ではありません。

「年収が高くなったら、給料全部に高い税率がかかる」という仕組みでもありません。

このあたりは日本の所得税と似ています。

タイの個人所得税はどのくらい?

タイの個人所得税をざっくり見ると、以下のような仕組みです。

課税所得税率
150,000バーツ以下0%
150,001〜300,000バーツ5%
300,001〜500,000バーツ10%
500,001〜750,000バーツ15%
750,001〜1,000,000バーツ20%
1,000,001〜2,000,000バーツ25%
2,000,001〜5,000,000バーツ30%
5,000,001バーツ超35%

タイ歳入局の現在の案内でも、この累進税率が示されています。

例えば課税所得が50万バーツだったとしても、「50万バーツ全部に10%」という計算ではありません。

150,000バーツまでは免税、その次の部分に5%、さらにその次の部分に10%というように、階段状に計算します。

ここは日本の所得税と考え方が似ているので、一度理解してしまえばそれほど難しくありません。

タイの「税務上の居住者」って何?

タイの税金を調べていると、「180日」という数字をよく見かけます。

タイでは、原則として1暦年のうち180日以上タイに滞在する個人は、タイの税務上の居住者とされています。

ただし、ここで注意したいのが、

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「180日未満なら税金を払わなくていい」

という意味ではないことです。

タイ国内で働いて給与を得ている場合は、滞在日数だけを見て判断することはできません。

また、海外にある収入などが関係する場合には、居住者・非居住者の区分や、その所得の種類、タイへの送金などによって取り扱いが変わることがあります。

そのため、

「タイに何日いたか」

だけで税金を判断しないことが大切です。

タイで働くと「社会保険」もある

税金とは別に、もう一つ知っておきたいのがタイの社会保険です。

タイにはSocial Security Fund、いわゆる社会保障基金があります。

タイの会社で一般的な被用者として働く場合、対象となる従業員は社会保険に加入し、給与から保険料が引かれる仕組みです。

2026年からは保険料を計算する給与上限が月17,500バーツに引き上げられ、従業員の負担は原則として給与の5%、最大で月875バーツとなっています。会社側も同じく5%を負担します。

つまり、給料が月30,000バーツだからといって、

30,000バーツ × 5% = 1,500バーツ

がそのまま引かれるわけではありません。

2026年から2028年の期間は、計算上の給与上限が17,500バーツなので、本人負担の上限は月875バーツです。

タイの社会保険では何が受けられる?

タイの社会保険は、単純に「年金のためだけのお金」ではありません。

病気やケガ、出産、障害、死亡、子ども、老後、失業など、複数のケースをカバーする制度です。2026年の制度説明では、7つの給付対象が案内されています。

イメージとしては、

・病気になったとき
・出産するとき
・障害が残ったとき
・死亡したとき
・子どもに関する給付
・老後
・失業したとき

などを対象とした社会保障制度です。

日本の健康保険や厚生年金などと完全に同じものではありませんが、「会社員が給与から保険料を払い、社会保障を受ける」という大きな考え方は似ています。

日本の社会保険とは別物

ここはタイで働く人が混乱しやすいところです。

タイの社会保険に加入したからといって、日本の年金制度に自動的に加入し続けるわけではありません。

逆に、日本の年金に過去加入していたからといって、タイの社会保険に入らなくていいわけでもありません。

基本的には、

「日本の制度」

「タイの制度」

を別々に考えると分かりやすいです。

そして、海外で働く場合には「日本とその国の間に社会保障協定があるかどうか」も重要になります。

日本とタイの年金はどうなる?

ここはかなり大事です。

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日本では、国内に住む20歳以上60歳未満の人は原則として公的年金制度に加入します。

一方、海外に住む日本人は、日本の国民年金に強制加入する対象から外れますが、20歳以上65歳未満であれば、希望して任意加入することができます。

つまり、

「タイに住んだら日本の年金が完全に消える」

というわけではありません。

日本国籍を持って海外で暮らしている人は、条件を満たせば日本の国民年金を任意で続けることができます。

将来の年金額を増やしたい人や、日本の年金加入期間を確保しておきたい人にとっては検討する価値があります。

タイで働いている期間はタイの社会保険に入る

タイの会社に現地採用されて働いている場合は、基本的にタイ側の社会保険が重要になります。

一方、日本企業からタイへ駐在するケースでは話が変わる場合があります。

日本の会社に在籍したまま海外勤務する場合、日本の健康保険・厚生年金との関係や、派遣先の社会保障制度との関係を確認する必要があります。

日本年金機構も、海外勤務については勤務形態や社会保障協定の有無によって加入制度が変わることを案内しています。

ここで大切なのが、「駐在員」と「タイ現地採用」を同じものとして考えないことです。

ざっくり言えば、

現地採用
→ タイの会社との雇用関係が基本

日本企業からの駐在
→ 日本の会社との雇用関係を維持したまま海外勤務するケースがある

という違いがあります。

実際の社会保険の扱いは契約内容によって変わるため、勤務先の人事・労務担当者に確認しておきましょう。

日本とタイには社会保障協定がある?

海外勤務でよく出てくるのが「社会保障協定」です。

これは、海外で働く人が日本と相手国の社会保障制度に二重加入する問題や、年金の加入期間が足りなくなる問題などを調整するための制度です。

日本は複数の国と社会保障協定を結んでいますが、厚生労働省が公開している発効済み協定の一覧には、2026年時点でタイは含まれていません。

そのため、日本からタイへ働きに行く場合は、「社会保障協定がある国だから自動的にどちらか一方だけ加入すればいい」と考えないほうが安全です。

特に日本企業の駐在員などは、会社側で加入関係を確認してもらうのがおすすめです。

日本の住民票はどうする?

次に気になるのが住民票です。

タイで長期間暮らす場合、「日本の住民票を残しておくのか?」という問題があります。

ここは税金と住民票を一緒に考えないことがポイントです。

住民票を日本に残しているかどうかと、日本の税法上の居住者に該当するかどうかは、必ずしも同じ判定ではありません。

日本の所得税では、「住所」は単純に住民票の有無だけではなく、生活の本拠がどこにあるかなどの客観的な事情によって判断されます。

つまり、

「住民票を抜いたから絶対に日本の税金はゼロ」

とも、

「住民票を残したから日本で全部課税される」

とも、一律には言えません。

ここはかなり重要です。

海外へ長期間移住するなら「国外転出」の手続きも確認

タイに移住することになった場合、市区町村で国外転出に関する手続きを行うケースがあります。

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特に長期的にタイで生活する予定なら、出国前に住民票、国民健康保険、国民年金などについて市区町村へ確認しておくと安心です。

また、日本の税務上の居住者から非居住者になる場合には、税金の手続きも関係します。

国税庁では、海外へ転出して日本の居住者ではなくなった人について、国内源泉所得などの扱いや、必要に応じた納税管理人の手続きについて案内しています。

「住民票だけ抜けば終了」と考えず、税金と社会保険をそれぞれ確認するのがおすすめです。

日本の住民税はどうなる?

日本の住民税は、所得税とは少し仕組みが違います。

住民税は前年の所得をもとに課税されるため、海外へ移住したからといって、その瞬間に日本の住民税に関する支払いが全部なくなるとは限りません。

特に年の途中で海外へ移住する場合は、前年の所得やその年の1月1日時点の住所などによって、住民税の納付が残ることがあります。

個人住民税は、原則としてその人の住所がある自治体が課税する仕組みで、住所は「生活の本拠」という考え方が基本になります。

そのため、

「タイに引っ越した翌月から日本の住民税はゼロ!」

と単純に考えないほうがいいでしょう。

海外移住のタイミングによっては、日本側に残っている住民税を支払う必要があります。

日本の年金を続けるかどうかは自分で考える

海外に住む日本人が日本の国民年金に任意加入する場合、将来の老齢基礎年金だけでなく、一定の条件のもとで障害基礎年金や遺族基礎年金との関係もあります。

そのため、

「海外に行くから日本の年金は全部やめよう」

と即決するのではなく、

・将来、日本の年金をどのくらい受け取りたいか
・タイの社会保険にどのくらい加入するのか
・日本に戻る予定があるのか
・日本での年金加入期間がどのくらいあるのか

などを考えて決めるのがおすすめです。

タイで働く場合の「日本とタイ」の違いを簡単に整理

ここまでを一度まとめると、こんなイメージです。

項目タイで現地採用として働く場合日本との関係
給与の所得税タイの所得税が基本日本の居住者判定などにも注意
タイ社会保険対象となる会社員は加入日本の社会保険とは別制度
日本の住民票海外移住なら国外転出の手続きなどを確認住民票と税務上の居住者判定は別
日本の住民税移住時期や前年所得などによって残る場合あり1月1日時点などが重要
日本の国民年金海外居住者は原則強制加入ではない日本国籍者は任意加入できる
日本の厚生年金現地採用なら通常はタイ側制度を確認駐在員は扱いが異なる場合あり

一番大事なのは、「税金」「住民票」「年金」「社会保険」を全部まとめて考えないことです。

それぞれ別の制度として考えると、かなり分かりやすくなります。

こんな人は特に注意

タイ現地採用で長期間暮らす人

タイの所得税と社会保険を中心に考えます。

さらに、日本の住民票や国民年金をどうするかを出国前に整理しておきましょう。

日本企業の駐在員

現地採用とは違い、日本の会社との雇用関係が残っているケースがあります。

日本の健康保険・厚生年金とタイの社会保険の関係を、会社の人事担当者に確認するのがおすすめです。

タイと日本を行ったり来たりする人

このケースは特に注意。

日本とタイのどちらを税務上の居住地とするかについて、滞在日数だけではなく生活の本拠などを含めて判断する必要があります。日本の税法上も、複数の滞在地がある場合は住所や生活の本拠などを確認する仕組みになっています。

日本に不動産や投資資産がある人

タイに移住しても、日本に不動産収入などが残る場合は、日本側の税金が関係する可能性があります。

また、一定の条件を満たす人が海外へ転出する場合には「国外転出時課税」が関係することもあります。

ただし、これは誰にでも発生する税金ではありません。

例えば国外転出時点で1億円以上の対象資産を所有するなど、一定の条件を満たす人が対象です。

タイで働く前にやっておきたいこと

難しい税金の話は後回しにしたくなりますが、出国直前になって慌てないように、次のことは確認しておきましょう。

・タイの雇用契約書を確認する
・給与から何が天引きされるか確認する
・タイの社会保険への加入条件を確認する
・日本の住民票をどうするか確認する
・日本の住民税の残額を確認する
・日本の国民年金を任意加入するか考える
・日本に不動産や収入がある場合は税務関係を確認する
・日本企業の駐在員なら会社の人事・労務担当者に確認する

特に「給与の手取り額」は、額面給与だけを見て判断しないことが大切です。

タイの所得税や社会保険などが給与から差し引かれるため、求人を見るときは「月給〇万バーツ」だけでなく、実際の手取りがどのくらいになりそうかを確認しておくと安心です。

まとめ|タイで働くなら「タイの税金+日本の手続き」を分けて考えよう

タイで働くときに一番混乱しやすいのが、日本とタイの制度が同時に出てくることです。

でも、

「タイで働いた給与にかかる税金」

「タイの社会保険」

「日本の住民票」

「日本の住民税」

「日本の年金」

を一つずつ分けて考えれば、それほど難しくありません。

タイの個人所得税は累進課税で、課税所得に応じて0〜35%の税率が設定されています。

また、タイの社会保険は2026年から保険料計算の給与上限が17,500バーツとなり、従業員負担の上限は月875バーツです。

日本の年金については、海外在住の日本人は20歳以上65歳未満であれば国民年金に任意加入できます。

一方、日本の住民票や住民税、所得税については「海外に引っ越したから全部終わり」というわけではありません。

特に日本とタイを行き来する人、日本に不動産や投資資産がある人、日本企業から駐在する人は個別の確認が必要です。

この記事はタイで働く前に全体像をつかむための入門編として考えてください。

実際に移住・就職する際は、タイの税務当局、日本の自治体、日本年金機構、勤務先の人事担当者などに最新情報を確認しておくと安心です。

税金は「知らなかった」が通用しにくい分野なので、タイへ行ってから調べるより、出国前に一度整理しておくのがおすすめです。

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